【レポート】Amazon Connectとデータ分析で実現するコンタクトセンターの改善 AWS-46 #AWSSummit
こんにちは、ゲームソリューショングループの入井です。
今回は、2023年4月21日に行われたAWS Summit Tokyo 2023のセッション「Amazon Connectとデータ分析で実現するコンタクトセンターの改善」のレポートを書いていきます。
セッション概要
コンタクトセンターの目的は顧客の課題を迅速に解決することですが、顧客対応によって蓄積されたデータやレポートにはビジネス改善のヒントが埋まっています。本セッションでは、コンタクトセンターにおけるデータの分析方法を中心に、企業が顧客にエンゲージするために Amazon Connect, Contact Lens for Amazon Connect, Amazon QuickSight 等のサービスを活用する方法について詳しくご紹介します。
スピーカー
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社プロダクティビティ アプリケーションズ事業本部Amazon Connect スペシャリスト ソリューションアーキテクト
梅田 裕義 氏
セッション視聴
5/22からAWS Summit Tokyoの登録を行うことでオンデマンドで視聴が可能になりました!(現地参加された方は改めての登録は不要です。)
https://aws.amazon.com/jp/summits/tokyo/
登録済みの場合、以下から直接遷移できます。
https://jpsummit.awsevents.com/public/session/view/565
レポート
セッションで伝えたいこと
- コンタクトセンターのデータ分析・活用のテクニック
- Amazon ConnectとAWS分析サービスを組み合わせて実現するデータ分析ユースケース
アジェンダ
- コンタクトセンターにおけるデータ分析
- インバウンドセンターの分析と改善ユースケース
- アウトバウンドセンターの分析と改善ユースケース
- まとめと分析・改善のファーストステップ
コンタクトセンターにおけるデータ分析
コンタクトセンターのデータ分析と改善のサイクル
以下のようなサイクルを繰り返すことで、絶えずお客様対応の品質を高め、顧客体験の向上に繋げていく。
- 分析データの収集、パフォーマンス確認
- データ分析、トレンドの検出
- インサイトの確認、改善プランの策定
- 改善プランの実行
- 1.に戻り、改善プランの効果を測定
Amazon Connectの紹介
コンタクトセンターに必要な機能を全て備えたサービスで、すぐに導入することができる
以下のような特徴を持つ
- セルフサービスでのコンフィグレーション
- ダイナミックでパーソナライズされたコンタクトフロー
- AI/ML 技術をビジネスに活用し、継続的に改善
- 分析、インサイト、最適化
- 顧客に提供した価値に応じた従量課金制
Amazon Connectの拡張可能な分析機能
- 標準分析機能
- リアルタイムメトリクス
- 履歴メトリクス
- コンタクトの検索
- 分析対象のデータ
- コンタクト追跡レコード(CTR)
- 個々の通話データ
- エージェントイベント
- コンタクトフローログ
- コンタクト追跡レコード(CTR)
インバウンドセンターの分析と改善ユースケース
コールフローの分析の課題
- コールフローとは
- どのようにエージェントに繋ぐかの動線設定
- 以下のように分析をしたい
- 意図した顧客誘導ができているか
- コールフロー内の離脱状況
- しかし、分析のためのデータを取るのが難しいという問題がある
- その結果、手探りで試行錯誤しながらコールフローを頻繁に変更することになりがち
AWSのサービスを組み合わせてコールフロー分析を実現
- コンタクト属性情報を用いて顧客導線をデータ化する
- 例えば、Aさんが自動音声による選択肢提示の際、どのメニューを選んだのデータを取るなど
- 起こりがちな問題として、途中の選択肢により自動的に解決できず、その他のような手動の窓口が頻繁に使われてしまう
- 例えば、Aさんが自動音声による選択肢提示の際、どのメニューを選んだのデータを取るなど
- アーキテクチャ
- AWS LambdaによりAmazon Connectのコンタクトフローにコンタクト属性を付与する
- Amazon ConnectのCTRログをAmazon Kinesis Data Streamsに流し込む
- AWS Lambdaにより、Kinesis Data Streams上のデータをビジュアル化に使用できる形に加工し、S3へ保存
- Amazon AthenaによりS3に対しての分析クエリを実行し、結果をAmazon QuickSightで可視化
- Amazon QuickSightによる顧客動線の可視化
- ビジュアルタイプでサンキーダイアグラムを使用し、流量から顧客導線を分析
※AWS公式のサンキーダイアグラム紹介ページより画像引用
Contact Lens for Amazon Connectのご紹介
コールセンター音声分析 - Amazon Connect Contact Lens - AWS
- 以下の機能を持っている
- 豊富な検索フィルタ
- 話者ごとの文字起こしと感情の記録
- 感情推移、発話割合の表示
- ルールに基づいたカテゴリ分類
- 文字起こしした会話の内容を検索し、どのようなフレーズが使われた問い合わせが多いかなどを分析できる。
- 従来のように、録音音声を確認するような手間が不要
- 例えば、以下のようなケースがある
- 原因
- 契約と無関係な特定の内容の問い合わせが多数着信
- 例:パスワード忘れ、リセットの依頼
- 対策
- ボットの適用範囲拡大(セルフサービス誘導)
- フローの分岐見直し検討
- 原因
アウトバウンドセンターの分析と改善ユースケース
アウトバウンドセンターが直面する課題
- キャンペーン案内、定期/緊急通知などのアウトバウンドコールの課題
- 電話、SMS、メールのアプローチが個別になってしまう
- 時間帯やチャネルが管理されていないため効果が薄い
- 手作業による電話発信、全顧客への対応が非効率
効果が薄く、作業効率の悪いアウトバウンドコールとなってしまっている
-
以下のような内容の分析を実施する
- チャネル別コンタクト件数
- チャネル別成功・失敗数
- ジャーニー別成功・失敗数
- コンタクト失敗リスト
- 時間帯別成功・失敗分布
Amazon Connect と Pinpointの活用
Amazon Pinpoint(チャンネル間でのパーソナライズされたユーザーエンゲージメント)| AWS
- 顧客の応答状況によって、電話→SMS→メールの順にコンタクトを実施
- Amazon Pinpointにおける顧客リストの登録・管理
- セグメント生成と分析用のデータ生成を実施
- Amazon S3内の顧客リストを取得し、LambdaでPinpointのCreateImportJob APIを使い、顧客のセグメントを生成する。
- セグメント生成と分析用のデータ生成を実施
- Amazon Pinpointによるアウトバウンドコンタクト
- チャネルを組み合わせたアウトバウンドフローを実現可能
- メール送信
- SMS送信
- カスタムチャネル
- LambdaとAmazon Connectを組み合わせて電話発信ができる
- 応答結果はLambda経由でセグメントに反映
- LambdaとAmazon Connectを組み合わせて電話発信ができる
- チャネルを組み合わせたアウトバウンドフローを実現可能
- 顧客コンタクトの結果をDynamoDBへ反映
- イベントデータに応じてアウトバウンド結果をDynamo DBへ反映
- PinpointのイベントデータをKinesis Data Streamsへ流し、Lambdaで分析用に加工してDynamoDBへ保存
- DynamoDB内のデータは、QuickSightで可視化する
- Federated Query機能を使う
- イベントデータに応じてアウトバウンド結果をDynamo DBへ反映
- Amazon Pinpointを活用することで、オムニチャネル型のアウトバウンドシステムとその分析機能をサーバーレスで実現できる
まとめと分析・改善のファーストステップ
- Amazon Connectは最新テクノロジーを活用したコンタクトセンターを構築可能
- AWSのAnalyticsサービスと組み合わせることでより複雑な分析を実現するための機能拡張が可能
- コンタクトセンターのデータを可視化して分析することで、事実に基づいた継続的な改善対応を行いましょう
感想
Amazon Connectについては詳しくは知らなかったので、このセッションを通してその機能などについて学ぶことができて良かったです。
分析と改善のサイクルについては、コンタクトセンターに限らず様々な業務の現場で意識することが必要な考え方と思いました。
一方で、Amazon Connect独特の要素である、AWSの分析系サービスと組み合わせた分析基盤の構築方法については興味深く聞くことができました。特に、文字起こし機能と組み合わせた電話による会話の分析については、顧客からの問い合わせ内容を従来の録音を使う方法よりかなり効率的かつ`正確に分析でき、顧客対応の現場に積極的に取り入れていくことで、対応品質を大きく向上させることができそうだと思いました。